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板硝子協会について

省エネに関する調査・提言

住宅の開口部断熱化促進についての要望 平成19年4月
[京都議定書第1約束期間の公約達成と良質な住宅ストック形成のために]

板硝子協会は、(社)日本建材・住宅設備産業協会、(社)日本サッシ協会、プラスチックサッシ工業会、全国複層硝子工業会の住宅の開口部に関連する4団と共に、平成19年度の「住宅の開口部断熱化促進についての要望」を、経済産業省・国土交通省・環境省の関係部署及び、自由民主党、日本経団連、経済同友会に対して提出しました。
この要望書は、京都議定書第1約束期間の公約達成と良質な住宅ストック形成のため、窓を中心とした省エネ改修(エコガラスと二重サッシ等)を実施する住宅所有者への省エネ改修促進税制の新設、次世代省エネ基準の義務化・もしくは強化、及び業界が昨年6月より自主的に開始している「省エネ等級表示」への支援についての要望と、その背景説明よって構成されています。

  • 開口部4団体及び(社)日本建材・住宅設備産業協会としての要望
    住宅の開口部に関連する5団体として次の三点を要望いたします。
    • 窓を中心とした省エネ改修(エコガラスと二重サッシ等)を実施する住宅所有者に対して、インセンティブとなる省エネ改修促進税制(当該工事に関わる設備、工事費等の一定割合を所得税額より控除、及び固定資産税の減額)を新設する。

      この開口部の断熱性能強化は、住生活基本計画(全国計画)において、これからの住宅に求められる11の居住性能の中にも「断熱性能等」と明記されており、「住生活基本法」の主要課題である[ 住宅全体の質の向上と良質なストックの形成 ] にも貢献できる。

    • 省エネ法(住宅に係わるエネルギーの使用の合理化に関する設計、施工及び維持保全の指針)での開口部の断熱性能の基準値強化を図る。

      現在、省エネ法で住宅各部位の断熱基準が設定されているが、特にわが国の開口部の断熱基準は京都議定書発効以降の各国の強化により相対的に低いレベルとなっている。また、住宅における熱の出入りは開口部が一番大きく、この部位の対策が最も効果的かつ現実的である。

    • 開口部断熱の最高ランクである[ サッシ(★★★★)] と [ ガラス(エコガラス=★★★)] の組合せが全国的に広く普及するよう、強力な支援策により早急に啓蒙を図る。

      昨年度の省エネ法改正の精神を受け、業界としてはサッシ・ガラスへの性能表示制度を自主的にスタートした。この制度の普及・定着により国民レベルでの省エネ意識の向上と、省エネ効果を最大限に発揮させることが必要である。

      -以上-

  • 要望の背景
    • 平成17年4月閣議決定された「京都議定書目標達成計画」の中では、[ 2008年度(平成20年度)の新築住宅の省エネ基準(次世代省エネ基準)適合率50% ]目標を設定し、平成16年度の適合率は31.8%(国土交通省調べ)まで伸びている。

      しかし、平成17年度の速報値によると、家庭部門におけるエネルギー起源CO2排出量は、京都議定書目標達成計画にある2010年度(平成22年度)目標(目安)排出量137百万tを38百万tも上回っている。
      2008年度に迫る京都議定書第1約束期間の開始を深刻な事態として受け止め、住宅における省エネ基準の義務化や、省エネ効果の大きい部位の基準強化等により、新築住宅全体の一層の省エネ性能向上による、京都議定書目標達成計画のCO2排出削減目標(約850万t)の確実な達成を強力に推進すること。

    • 昨年度公布された住生活基本法に基づき、9月度に制定された住生活基本計画(全国計画)の中では、住宅の『量』から『質』への転換、良質な住宅ストックの形成及び成果を把握する目標設定を行い、[一定の省エネルギー対策を講じた住宅ストックの比率 平成15年:18% ⇒平成27年:40%]という指標が定められた。
      既築住宅の省エネ改修はストック量は4,600万戸に上るため、この部分での省エネにより大きなCO2排出削減効果を見込めるが、そのためには、昨年度の耐震改修、本年度のバリアフリー改修と同様に、既築住宅の断熱(省エネ)改修を促進し、上記目標数字の確実な達成だけではなく、さらにそれを上回る規模の改修率アップを目指し、家庭部門のCO2排出削減と同時に、住宅ストックの良質化と居住環境の改善を一層強力に推進すること。

      我々住宅の開口部に関連する5団体も、地球の将来を左右する地球温暖化防止問題を自分達自身に課せられた課題であると受け止め、それぞれが社会への啓蒙活動や自主的なCO2排出削減活動に関してできることから取り組んでいます。

      開口部の断熱性能強化は、その省エネ(CO2削減)効果によってこの課題達成に大きく貢献できるばかりでなく、「住生活基本法」にうたわれている[ 良質な住宅ストックの 形成 ]に直結します。
      特に住宅内の快適な温熱環境を確保して、結露を防止することでカビやダニの発生を抑え、住宅の長寿命化に貢献します。
      また、住戸内の室温差を解消して、特に高齢者に起こる可能性があるヒートショックを防止するという「目に見えない温熱バリアフリー」効果にもつながるものです。
      これらの効果を充分御理解いただき、上記の要望と提案を強く推進して頂くよう、宜しくお願い致します。

      -以上-

  • 参考資料「住宅・建築物における省エネと"開口部"の重要性」について
    • 地球温暖化と温室効果ガス削減
      • 〔1〕地球規模の温暖化防止への対応を図るため、二酸化炭素などの排出抑制、およびその原因となる化石燃料の使用削減が強く求められる中にあって、1997年12月京都で開催された「気候変動枠組条約第3回締約国会議」において、わが国をはじめとする先進諸国における温室効果ガスの具体的な排出削減目標を盛り込んだ議定書が採択され、2004年11月ロシアの批准により2005年2月に発効しました。

      • 〔2〕わが国はこの議定書の中で2008年から2012年までの温室効果ガス排出量を、1990年比マイナス6%を目標とすることに合意しました。
        しかし、わが国での最終エネルギー消費量はむしろ増加しており、2005年度の速報値によればプラス8.1%と大幅な伸びとなっています。
        特に住宅等で消費される家庭用エネルギーについてはプラス37.4%と増加傾向に歯止めがかからず、早急な削減対策が必要となっています。

      • 〔3〕産業部門を含む全体の省エネルギーでわが国はトップレベルの実績を誇っていますが、こと民生部門の、特に住宅で使用される冷暖房の省エネでは、欧州諸国と比較して規制値・基準値が未だに低く設定されており、省エネルギー面での立ち遅れが目立っています。
        わが国が名実共にすぐれた省エネルギー国家として国際的な貢献を果たし、世界から認められるには、住宅で使用されるエネルギーの削減を徹底して押し進める必要があります。

    • 逃げる熱の48%、入ってくる熱の71%が開口部を通ります
      • 〔1〕現在、開口部、壁、床、天井など住宅の部位によって断熱基準の値は異なりますが、開口部の断熱基準値は他の部位と比較して相対的に低く、開口部から冬の暖房時の熱が逃げ出す割合は48%、また、夏の冷房時に外から入ってくる割合は71%ということを考えますと、開口部の断熱性強化が住宅全体の省エネを考えた場合、欠くことのできない要素となります。
        ((社)日本建材・住宅設備産業協会資料による)

      • 〔2〕このままの状態で冷暖房運転をおこなった場合、開口部からどんどん熱が出入りしてムダを発生させることとなり、たとえ省エネ家電を使用しても住宅全体として省エネルギー効率が改善されません。
        開口部の断熱強化は、今や住宅の部位の中で最も重要な課題であるといえます。
        もっと開口部という部位に目を向け、開口部としての断熱基準の向上を意識的に進めていかなければ、住宅の省エネルギー対策は不充分と考えます。

    • 諸外国の開口部断熱強化の実例
      • 〔1〕欧州各国では京都会議以降、特にここ2-3年の間に地球温暖化ガス排出の削減・省エネルギーの一環として開口部の断熱規制数値の大幅強化を打ち出しており、現在では、例えば地中海性気候で温暖なフランス南部においても、わが国の北海道並みの基準値となっています。

      • 〔2〕このため、もはや欧州諸国では通常の複層ガラスの入った窓では断熱基準を満たすことができず、断熱性能の高いサッシにLow-E高断熱複層ガラス(エコガラス)、3層複層ガラス、ガス入り複層ガラスなどを入れたものが標準仕様となっています。
        また、この開口部の強化策は現在も各国で引続き検討され、更に強化の方向にあります。
        (本年度、板硝子協会は欧州諸国の最新の省エネ施策や法令、エコガラス普及状況調査のために調査団を派遣する予定です。)

      • 〔3〕アメリカでは1976年に国が建物の省エネルギーのモデル基準を決め、州の採用により義務化をはかっています。
        その結果日本とほぼ同緯度のカリフォルニア州でも開口部については断熱性能の高いサッシにLow-E高断熱複層ガラス(エコガラス)がはいったものがほぼ100%を占めるなど、日本に比べてかなり厳しい基準となっております。
        また、ブッシュ大統領は本年度の一般教書演説の中で、今後10年以内のガソリン消費を20%削減するという目標を発表するなど、京都議定書の枠組みに入っていない従来の姿勢から転換する動きも見え、さらなる強化施策が出されてくる可能性もあります。

      • 〔4〕韓国でも1976年以降国が建築法に省エネ基準を規定して義務化され、現在では、ほぼ100%が断熱性能の高いサッシとガラスの組合せを使用しています。

      以上のように、世界の各国でも京都議定書を契機に、更なる住宅における省エネを一段と強力に進めているのが現状です。

    • わが国の断熱基準の現状
      • 〔1〕わが国の次世代省エネルギー基準(平成11年告示)はその策定当時は欧米並みの基準といわれていましたが、開口部について言えば、京都会議以降、欧州各国が数値をさらに強化した為に、わが国の基準は欧州各国と比較し相対的に低くなっています。
        更に欧州の国々が法律などで規制するか、補助金等で普及を誘導しているのに比べ、わが国では強制力の無い「指針」(努力目標)と位置付けられ、促進度合は十分ではありません。

      • 〔2〕また、昨年度省エネ法が改正されたのに伴い、業界ではその精神を受けて6月から自主的にサッシ及びガラスへの性能表示制度を導入し、開口部の断熱強化への認知度アップと省エネ資材購入への具体的誘導策をとり始めましたが、この制度の確実な全国的普及・定着と、国民レベルでの開口部に関する省エネ資材の購買行動の啓蒙を行うためには、行政サイドの強力な支援策が必要と考えます。

    • 「住生活基本計画(全国計画)」について
      • 〔1〕昨年度公布された住生活基本法に基づき、9月度に制定された住生活基本計画(全国計画)では、「安全・安心で良質な住宅ストック・良好な住環境の形成」という法の基本精神に沿って、これからの住宅に求められる具体的な11の居住性能があげられています。
        その中でも「断熱性能等」は重要な基本的性能です。開口部の断熱化は住宅の快適な温熱環境を確保して省エネ性能を大幅に向上させるだけでなく、窓まわりの結露を抑制することで住宅のカビ・ダニ問題にも効果を発揮して「健康的な住まい」を実現し、さらに住戸内の温度差を解消して、特に高齢者に起こる可能性のあるヒートショックを防止し、「目に見えないバリアフリー」性能をも向上させることになります。

      • 〔2〕耐震基準が強化されたのが1981年、省エネ法(旧省エネ基準)が制定されたのが1980年であり、ほぼ同時期であることにより耐震上問題がある住宅は省エネ性能も低い状態にあると言えます。
        耐震改修や、本年度新たに改修促進税制が創設されるバリアフリー改修と同時に省エネ改修を実施することは、国民にとっても、また国としての「良質な住宅ストック化」施策を総合的に推進する上でも、極めて合理的かつ効果的であると考えられます。

    • 住宅ストックと既存住宅の窓断熱改修
      • 〔1〕わが国では新築と建て替え合わせて年間約120万戸程度の住宅が建てられていますが、一方で空き家を除き、人が住んでいる4600万戸近いストックがあり、このストック住宅の省エネレベルが低いため、開口部を中心とした早急な省エネ性能(断熱性能)の向上が求められています。

      • 〔2〕仮に新しく建てられる住宅のすべての開口部を断熱性能の高いサッシとガラスの組合せにしたとしても4600万戸以上の住宅が全て断熱性能の高い住宅に置き換わるまで40年近くかかる計算となります。
        よって、地球温暖化防止という緊急な課題に対して新築、既築住宅とも開口部の断熱強化に関する早急な対策の着手が必要です。

      • 〔3〕開口部の断熱化の重要性が叫ばれ、一般消費者の認知度もこの6-7年の間にかなりアップしており、住宅の省エネ性能向上と共に、開口部の断熱性強化も浸透しはじめました。
        しかし、既築のストック量が4600万戸と巨大であるため全体としての進捗はまだ不十分と言わざるを得ないのが現状です。
        逆に、この住宅ストックの省エネ化が進めばCO2削減も極めて大きな効果が見込め、京都議定書を達成する上で強力なソースになると考えます。

      • 〔4〕京都議定書に対応するCO2削減量を確保するため、北海道や東北の寒い地域だけでなく、関東以南の比較的温暖な地域でも暖冷房エネルギーの効率アップの為に開口部の断熱性能を向上させることは最も有効な手段の一つであり、新築及びストック住宅数量の地域性を見ても、東京・大阪・名古屋等の大都市圏周辺での普及が期待されます。

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